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Where Note Names Come From

ドレミと CDE はどこから来たのか

同じ音なのに2つの名前がある理由は、別々の場所で別々の目的のために生まれた2つの記譜文化が、日本でたまたま両方残ったから。

RIN

ね、前のページで = ド、 = レ……って同じ音に2つの名前があるって話だったよね。なんでわざわざ2つあるんだろう?混乱しない?

混乱した方を消せばよかったのに。

RON

あー、それはそうなんだけど、実は 別々の場所で、別々の目的のために つくられたものが、たまたま両方残ってるっていうのが正直なところなんだ。

RIN

別々の目的?

RON

うん。

ざっくり言うと、CDE は「書くため」の名前で、ドレミは「歌うため」の名前として生まれたんだよ。

CDE のほうが先

RON

順番でいうと、CDE のほうが古い。

古代ギリシャまでさかのぼると、音にギリシャ文字を当てて記録してたんだ。それがローマ時代にラテン文字に置き換わって、6世紀ごろにはもう A〜G の7文字で音を表す習慣ができてた。

RIN

6世紀って、めっちゃ昔だ。

RON

そう。音を紙に書いて記録するための道具として、文字を使うのは自然だよね。

楽譜が発達するにつれて、この A〜G がそのまま定着していった。今でも英語圏や理論書で CDE を使うのはこの流れ。

RIN

あれ、でもなんで A じゃなくて C から始まるの?アルファベットなら A が最初じゃない?

RON

ね、それ思うよね。

文字が当てられた当時、A の音から始まるスケール(今でいう A マイナー=自然短音階)が基準だったんだ。だから A=A、B=B、…… と素直に並んだ。

C4
D4
E4
F4
G4
A4
B4
C5
D5
E5
F5
G5
A5
B5

そのあと、時代が進んで「ドレミファソラシド」っぽい 明るいスケール(メジャー) がよく使われるようになった。それが C から始まるとちょうど黒鍵を使わない ことに気づくんだ。

C4
D4
E4
F4
G4
A4
B4
C5
D5
E5
F5
G5
A5
B5

つまり「文字の起源は A だけど、説明しやすいキーは C」っていう、ちょっとねじれた状態が残ったまま今に至るんだ。

RIN

へえ。文字は A スタートだけど、よく使うキーは C スタート、って2つのものさしが並走してる感じ。

ドレミは修道院で生まれた

RON

じゃあドレミの話。これは 11世紀のイタリアの修道院 で生まれたんだ。

RIN

修道院。意外な場所だ。

RON

当時、修道士たちは聖歌を覚えるのが大変で、「メロディを耳で覚えるのにいい方法ない?」って話になってた。

そこで グイード・ダレッツォ っていう音楽教師が、ある聖歌を持ち出した。「ウト・クェアント・ラクシス」って讃美歌で、ちょうど各行の最初の音が、1段ずつ階段みたいに上がっていく曲だったんだよ。

C4
D4
E4
F4
G4
A4
B4
Ut
Re
Mi
Fa
Sol
La
RON

グイードは「この曲の各行の最初の音節を、音の名前にしちゃえばいい」って考えた。

歌詞の最初の音節を順番にとると:

歌詞の始まり音節
Ut queant laxisUtC
Resonare fibrisReD
Mira gestorumMiE
Famuli tuorumFaF
Solve pollutiSolG
Labii reatumLaA

これで、歌詞を覚えてるとメロディも芋づる式に出てくる、っていう 記憶のフック ができた。

RIN

あー、それは便利。

RON

6音だから「ヘクサコード(hexachord)」って呼ばれた。これがドレミの原型。

時代が下って、

  • 7音目 が必要になって Si(後の Ti) が足された
  • Ut は発音しにくいから Do に置き換わった(17世紀、イタリア)

それで Do Re Mi Fa Sol La Si (Ti) が今のかたちで定着した。

RIN

へえ、修道院の暗記ツールが、いま小学校の音楽の教科書に載ってるってことか。

Origin
2 源流

文字は記録、ドレミは記憶

CDE は古代〜中世ヨーロッパで「音を書き残すため」の名前として定着。ドレミは11世紀の修道院で「歌を覚えるため」の名前として生まれた。出発点も目的も別。

なぜ両方が日本に残ったか

RIN

で、なんで日本ではどっちも使われてるの?

RON

これも経緯があって、明治時代にヨーロッパ音楽が入ってきたとき、学校教育用の音楽 はイタリア・フランス由来のドレミで導入されたんだ。

子どもに歌わせるのに「ド・レ・ミ」のほうが自然だったし、ヨーロッパでも学校音楽はドレミでやってたから、それをそのまま輸入した。

RIN

じゃあ CDE は?

RON

こっちは戦後、ジャズやポップス がアメリカから入ってきたときに一緒に来た。コードネームを書くには CDE のほうが圧倒的に短くて便利なんだ。

「Cmaj7」って書くのと「ハ長調セブンス」って書くのとどっちが楽?って話。

C4
D4
E4
F4
G4
A4
B4
C5
D5
E5
F5
G5
A5
B5

だから日本では:

  • 学校の音楽 → ドレミ
  • バンドのコード譜・楽器の教則本 → CDE

って棲み分けができたまま、両方が残ったんだ。

RIN

ふーん、来たルートが違うから両方残ったのか。

RON

そういうこと。

ちなみに ハニホヘト っていう日本独自の音名もあるよ。明治のころに作られた、CDE の和訳みたいなやつ。

RIN

ハニホヘト。聞いたことはある。

RON

ハ=C、ニ=D、ホ=E、ヘ=F、ト=G、イ=A、ロ=B。

ハ長調」って言うのは「C メジャー」のこと。クラシック系の楽譜やラジオ番組で今も使われてるよ。

つまり「使い分け」じゃなくて「文化の重なり」

RIN

どっちで覚えたらいい、とかある?

RON

答えは「両方なんとなく で OK」だよ。

歌うときや音感の話ではドレミが速いし、コードを書くときや理論で考えるときは CDE が速い。

無理に統一しようとせず、場面に応じて切り替わるものなんだ と思っておけば、迷わなくなる。

RIN

混乱した方を消す、じゃなくて、両方の生まれた背景を知ったら、なんかどっちも消しがたい気がしてきた。

RON

1000年かけて積み上がったものだからね。

歌の覚え方として生まれたドレミと、書き残すために生まれた CDE。両方の役割が今も残ってる、ってだけの話。

Q&A

Qドイツ語の H って何?

ドイツ語圏では、B のことを H、B♭ のことを B と書くんだ。中世の写本で b の文字に2つの形(角ばった b と丸い b)があったのが、それぞれ独立した記号に分かれて H と B になった、っていう書き文字由来の歴史。

Qフランス語の Si と英語の Ti は同じもの?

そう、同じ7番目の音(B)を指す。イタリア語・フランス語では Si、英語圏ではドレミを教える時に Ti を使う。これは「頭文字がかぶらないように」(Sol と Si が両方 S で始まる)変えた、っていう実用的な理由。

Qドレミは「動く」って聞いたけど?

移動ド」と「固定ド」っていう2つの考え方がある。固定ドは = 常に「ド」。移動ドはキーの主音をドと呼ぶ(G メジャーなら G がド)。日本の学校では固定ドが多いけど、ソルフェージュ訓練では移動ドを使うこともある。これはまた別の長い話。